これはボールに埋め込まれたチップと映像のAI分析によってオフサイドの可能性がある場面を自動判定するシステムだ。オフサイドの可能性がある場面が発見されると審判員に合図を送るというもの。
しかしながら、このシステムが夏に行われるEURO2024で使用できなくなる可能性が浮上しているようだ。
『The SUN』によれば、その理由は「技術を模倣されたとしてオランダ企業に訴えられたから」であるとのこと。
訴えているのはオランダに本拠地を置いている企業「バリーノ」で、彼らは13年前にオフサイドの状況を検知するシステムの特許を取得したと主張しているとのこと。
そして、その告訴の提出は4月18日に行なわれ、最初の審問が6月3日に開かれることが決まったという。
なお『The SUN』によればバリーノの訴えが「VAR全体に対しての特許侵害」なのか、「オフサイド自動判定技術の特許侵害」なのかは不明であるとのこと。
知的財産紛争に関する解説を行っている『ipfray』によれば、バリーノ自体が「特許を取得しながら発明や実践を行なわない」団体(Non-Practicing Entity)であるため、これは「UEFAからロイヤリティを得ることを目的とした裁判である」という。
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そのためEURO2024を人質にするようなタイミングで告訴と裁判を行い、UEFAから金銭的な利益を得ようと考えているそうだ。
ただ、特許自体が2011年に認められた古いものであり「特許侵害の疑いが最近になって発見された可能性は低い」ため、バリーノの特許によってUEFAに使用差止命令が出るかどうかは疑問である…とも。
「技術盗用の疑いが浮上してしまうと、どのような形で問題が解決されるのか気になります。VARを使用することで公正な判定が行われると期待されていた大会でのこの問題は、サッカー界に大きな衝撃を与えるでしょう。」