相談者はご近所の家の壁にとまっていたカブトムシを捕ろうとしたところ、その家の住民から「泥棒!警察に突き出してやる!」と言われたそうです。
相談者がそのカブトムシは住民が飼育していたものかと尋ねたところ、飼っていたものではなく、自然のカブトムシだったとのこと。相談者は本当に住民が言うとおりに「窃盗」になってしまうのか、気になっているようです。
自然のカブトムシなのに、捕まえたら本当に「泥棒」になるのでしょうか。
●案外複雑な昆虫採集のルール
一般的に無断で他人の敷地に入ることは、住居侵入罪などにあたる可能性がありますが、もしもそうでないのであれば、自然の中にいるカブトムシは、誰の所有物でもないので、窃盗罪(泥棒)にはあたらないでしょう。ただし、無断で他人の敷地に入ることは、住居侵入罪などにあたる可能性があります。
これ以外にも、昆虫採集には注意が必要です。
まず、国立公園や国定公園の特別地域では、生息を脅かさないよう、採集や殺傷が禁止されている昆虫がいます。国立公園や国定公園でなくても、自治体の条例により、特定の昆虫の採集が禁止されているケースもあります。
また、一般的なカブトムシやクワガタも、大量捕獲により生態系が破壊されるのを防ぐため、ライトトラップ(夜間に照明器具を使って昆虫を採集する方法)の使用を禁じている自治体もあります。自治体の公園内であっても、昆虫の採集自体を禁止しているところも少なくありません。
カブトムシを捕まえてうれしいという気持ちはわかりますが、昆虫は捕獲場所や採集方法には十分な注意が必要です。捕まえてよい場所や捕まえてよい昆虫の種類などを国や自治体の公式サイトを事前にチェックしておくと良いかもしれません。
(監修:濵門俊也弁護士)
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:https://www.hamakado-law.jp/
カブトムシ採集の基本
1. 採集の時期
カブトムシの成虫は夏(6月から8月頃)に活動します。特に7月中旬から8月上旬がピークです。
2. 採集の時間帯
カブトムシは夜行性で、夜に活動します。特に夕方から夜中にかけて活発になるため、夕方から早朝にかけて採集するのが効果的です。
3. 採集場所
カブトムシは、広葉樹の多い森林や雑木林に生息しています。特にクヌギやコナラなどの樹液が出る木が多い場所が良いです。
採集の方法
1. 樹液採集
カブトムシは樹液を好むため、樹液が出ている木を探します。特にクヌギやコナラの樹液が出ている場所を見つけたら、その周りをチェックしましょう。カブトムシが樹液を吸っているところを見つけることができます。
2. トラップを仕掛ける
バナナトラップや酒トラップなど、餌を使ったトラップを仕掛ける方法も効果的です。バナナトラップは、熟したバナナを細かく刻み、砂糖やアルコール(焼酎やビール)を混ぜて発酵させたものを使用します。これを木の幹や枝に塗ると、カブトムシが集まってきます。
3. ライトトラップ
カブトムシは光に引き寄せられる習性があります。強いライトを使ってカブトムシを引き寄せる方法もあります。ただし、周囲の住民に迷惑がかからないように注意が必要です。
採集のマナー
- 環境保護: 木を傷つけないようにし、採集後は樹液の出る場所に元の通り土を被せたりするなど、自然環境を守りましょう。
- 適量採集: 必要以上に採集せず、自然の生態系に配慮して行動しましょう。
- 地域のルール遵守: 採集が禁止されている場所や私有地には立ち入らないようにしましょう。
これらのポイントを守って、楽しく安全にカブトムシ採集を楽しんでください。