害虫駆除薬(農薬や殺虫剤など)の危険性についてはいくつかの点が挙げられます。
- 健康への影響: 多くの害虫駆除薬には、人間の健康に影響を及ぼす可能性がある化学物質が含まれています。これらの化学物質は、皮膚や目への刺激、呼吸器系への影響、中毒のリスクなどを引き起こすことがあります。特に長期間にわたる曝露や大量の使用は、深刻な健康被害を引き起こすことがあります。
- 環境への影響: 害虫駆除薬は、対象とする害虫だけでなく、周囲の環境や非標的生物にも影響を及ぼす可能性があります。例えば、農薬が水中に流れ込んで水生生物に影響を与えたり、殺虫剤が鳥や哺乳類に影響を及ぼすことがあります。また、土壌中の微生物にも影響を与える場合があります。
- 抵抗性の発生: 長期間にわたって同じ種類の害虫駆除薬を使用すると、害虫がその薬剤に対して抵抗性を持つように進化してしまうことがあります。これにより、効果が低下し、さらに強力な薬剤が必要になる場合があります。
- 食品の安全性への影響: 農薬の使用が適切でない場合、収穫された農産物に残留する可能性があります。これが消費者の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
これらの理由から、害虫駆除薬の使用は十分に注意が必要です。特に、使用量や方法、安全基準の遵守が重要です。農薬などの使用に関しては、専門的な指導やガイドラインに従うことが推奨されます。また、可能であれば、より環境に優しい代替方法を探ることも重要です。
事故が起きたのはイーストロンドンのタワーハムレッツ区にあるアパート「ニダ・ハウス(Nida House)」で、トコジラミに悩まされていた2児の母ヤスミン・アクター(Jesmin Akter、34)が2021年12月、錠剤タイプの害虫駆除剤「リン化アルミニウム」を使用した。
リン化アルミニウムとは、水分を吸収すると有毒ガス「ホスフィン」を発生し、人間が吸引すると生命に危険が及ぶことがあり、あらかじめ認可を受けた者だけしか使用することができない。また化学兵器として使用されたこともあるほど危険なもので、もともとはヤスミンの母親がバングラデシュで購入したという。
ヤスミンは2021年11月、この駆除剤をイタリアから旅客機でイギリスに持ち込んでおり、翌月にアパートの部屋に多数の錠剤を置き、自分と家族は24時間、アパートから退避していた。
そしてしばらくすると、換気口から有毒ガスが充満し、犠牲になったファティハ・サブリンさん(Fatiha Sabrin)をはじめとするアパートの住人らが体調不良を訴え始めた。
ファティハさんは12月11日午前4時、母親カニスさん(Kaniz)に「トイレに行きたい」と訴えて嘔吐しており、午前9時半にはカニスさんがかかりつけ医と医療相談センターに電話をした。その後、緊急通報したものの「下痢止めを飲み、あっさりとした食事を摂るように」とアドバイスされただけだったという。
しかし午後1時半頃、ファティハさんの容体は急激に悪化。午後3時半には呼吸が停止して意識を失い、午後5時前に搬送先の病院で死亡した。
なお救急隊が到着した際、カニスさんと当時7歳だった弟も意識不明で倒れていたものの、2人は一命を取り留めていた。またファティハさんの父親はバングラデシュに出張中で無事だった。
亡くなったファティハさんのアパート内のホスフィンのレベルは、致死量の最大26倍に達していたと推測されており、その日はアパート内の異臭が酷く、頭痛や咳、喉の痛みを訴える人が相次いだ。そしてファティハさんらが病院に搬送された後、消防隊は「危険物による事故である」と宣言して住民を避難させ、アパートでリン化アルミニウムを発見した。
そうして今月18日、ヤスミンには懲役2年、執行猶予2年の判決が言い渡され、150時間の社会奉仕が命じられた。過失致死を認め、ファティハさんの家族に謝罪したが、害虫駆除剤の使用についてはこのように述べたという。
「リン化アルミニウムを使用することで隣人に危険を及ぶとは思わなかった。家族の勧めで駆除剤を手に入れたが、説明書は読まず、有毒ガスの発生については認識していなかった。」
判決にあたり、アレクシア・デュラン判事は「イタリアからイギリスへの飛行中、もし駆除剤の梱包が破損するようなことがあったら、数百人の命を危険に晒す壊滅的な事故に繋がった可能性もあった」とヤスミンの軽率な行動を非難。アパートのオーナーがトコジラミの問題を知りながら適切な対応をしなかったこと、ヤスミンが「トコジラミを確実に駆除したい」と、かなりの量の駆除剤を使用したことなどを指摘した。
ただ一方で、「ヤスミンは大きな罪悪感に苛まれていて、自身の行動が悲劇的な結果をもたらしたことを一生忘れることはないだろう」と語り、執行猶予付きの判決を言い渡したのだった。
奇しくも12月11日はファティハさんの11歳の誕生日で、父親は娘について「よくできた子で聡明だった。誰とでも友達になり、母親を良く助けてくれた」と語り、肩を震わせた。
そしてこのニュースには、次のようなコメントが寄せられた。
「心が痛む。これは悲劇だ。」
「なぜ飛行機に持ち込むことができたのか?」
「彼女は危険を十分に認識していた。自分たちだけ24時間も避難していたのだからね。厳罰に処すべき。」
「自身の怠慢で、少女が亡くなっているのに執行猶予付きなんて、何かが間違っている。彼女は刑務所に行くべきだ。」
「故意でなく、無知だったことが事故の原因。難しい判決だと思う。」
画像は『Metro.co.uk 「Woman who poisoned girl, 11, while trying to get rid of bedbugs spared jail」(Picture: Central News/Web Collect)(Pictures: PA/Central News)(Picture: Crown Prosecution Service/PA)』『Tyla 「Family ‘haunted’ as daughter dies on 11th birthday after ‘paying the price’ when neighbour tried to get rid of bedbugs」(PA)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
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