ピックアップ記事
環境負荷を軽減するために導入された新たな取り組み!伊藤園と日清食品のラウンド輸送計画

ラウンド輸送(Round Transportation)は、物流や輸送業界での効率的な輸送方法の一つです。
しかし、それぞれメリット、デメリットがあります。

ラウンド輸送とは

ラウンド輸送は、配送車両が荷物を届けるために一つのルートを回りながら複数の目的地を訪れ、最後に出発地点に戻る輸送方法です。

これにより、一度の運行で複数の配送を行うことができ、輸送効率が向上します。

ラウンド輸送の主な特徴

  1. ルート最適化:効率的なルートを計画することで、移動距離を最小限に抑え、時間と燃料の節約を図ります。
  2. 複数の配送先:一度の運行で複数の目的地に配送するため、トラックやドライバーの稼働率が向上します。
  3. 戻り便の活用:戻り便(出発地点に戻る際の輸送)を有効に活用することで、無駄な移動を減らします。

メリット

  1. コスト削減:移動距離や時間が短縮されるため、燃料費や人件費の削減が期待できます。
  2. 効率的な資源利用:トラックやドライバーの稼働率が高まり、資源の有効活用が可能です。
  3. 環境への配慮:移動距離の短縮により、二酸化炭素排出量の削減が期待できます。

デメリット

  1. 複雑な計画:複数の目的地を効率的に巡るルートを計画するには、高度な計画技術や専用のソフトウェアが必要です。
  2. 柔軟性の低下:計画されたルートに沿って運行するため、突発的な変更や緊急対応が難しい場合があります。
  3. 集配のタイミング:各配送先での集配タイミングが重要であり、遅延が発生すると他の配送にも影響を及ぼすことがあります。

ラウンド輸送の例

  1. 都市内配送:都市内での宅配便や小売店への配送など、比較的近距離の複数の配送先を巡る場合に適しています。
  2. 製造業のジャストインタイム配送:部品や材料を複数の工場や倉庫に配送する場合に、効率的にルートを計画することで、生産ラインの停滞を防ぎます。
  3. 農産物の収穫配送:複数の農場から収穫物を集め、出荷センターに運ぶ際に効率的なラウンド輸送が行われます。

ラウンド輸送の計画方法

  1. ルート最適化アルゴリズム:コンピュータアルゴリズムを利用して、最も効率的なルートを計算します。
  2. GIS(地理情報システム):地図情報を活用し、交通状況や地理的条件を考慮したルートを設定します。
  3. タイムウィンドウ制約:各配送先での受け取り時間を考慮し、適切なタイムウィンドウを設定して計画を立てます。

ラウンド輸送は、効率的な物流を実現するための重要な手法の一つです。適切に計画し運用することで、コスト削減や環境負荷の低減が期待できます。

伊藤園日清食品7月22日、持続的なサプライチェーンの構築に向けた「ラウンド輸送」の毎日運行を共同で開始した。「ラウンド輸送」とは、貨物を輸送したトラックが別の貨物を積んで戻ることによって、配送効率を高める輸送形態のこと。他社との共同輸送は伊藤園初の取り組みとなる。

今回の取り組みでは、往路で伊藤園の生産委託工場(愛知県江南市)から管理倉庫(静岡県牧之原市)へ茶葉を輸送し、復路で日清食品の静岡工場(静岡県焼津市)から在庫拠点(愛知県春日井市)に即席麺を輸送する。空車で運行していた区間を短くできることから、従来と比較してトラックの使用台数を約19%、CO2排出量を約17%削減できる見込みだとしている。各取り組みを検討するにあたり、多くの検討課題はあったが、両社ともに持続可能なサプライチェーン構築の実現に向け積極的に考えているため、スピード感を持って取り組めたという。

両社はこれまでにも物流連携の取り組みを行っており、2023年8月には「空きパレットの共同返却輸送」の取り組みでトラック使用台数を約9%、CO2排出量を約31%削減。2024年4月には「即席麺と茶葉の混載輸送」の取り組みでトラック使用台数を約38%、CO2排出量を約23%削減している。

伊藤園は協業に至った経緯について、両社とも物流を取り巻く厳しい環境に対して、個社の取り組みだけでなく他社と連携して取り組む必要があると考えており、循環型の物流で「送る」だけでなく「戻す」ことも考慮しなければいけないと認識していたことを挙げている。また、工場立地が近く、重軽差や繁忙期の差など物流アセットシェアの相性が良いことも協業検討が進んだ理由だとしている。

(左から)伊藤園遠藤執行役員、日清食品深井常務取締役
(左から)伊藤園遠藤執行役員、日清食品深井常務取締役

伊藤園は、今後想定される長距離トラックドライバー不足対応や環境負荷軽減に向けて、さらに連携を強化していきたいとしている。両社の最終製品である即席麺とドリンク製品を混載するなど、より幅広い領域での物流連携を検討しているという。

ラウンド輸送のイメージ図

(出典 news.nicovideo.jp)

伊藤園と日清食品が業界を超えて協力する姿勢は素晴らしいですね。環境に配慮した取り組みが増えていくことは、私たちの未来にとっても良いことだと感じます。
ピックアップ記事
おすすめの記事